“「○○を認めないと、そもそも取引が起こらなくなる」という議論の危うさ: 弁護士植村幸也公式ブログ: みんなの独禁法。企業は、既存のルールを前提にビジネスを行います。
例えば、もしグラントバックが認められるルールから、認められないルールに変更された場合には、変更後のルールを前提にビジネスを行います。
その時、新ルールに対応する企業の柔軟性というか、創造性というのは、実は結構なものです。
新しいルールになったら「取引をやめてしまう」という企業もあるかもしれませんが、多くの企業は、
「新しいルールの下で(例えば、グラントバックが認められない前提で)、どのような取引をするのが最も有利か。」
を、一生懸命考えるのです。
いわば、法律には、企業のインセンティブを誘導していく機能があるのです(というようなことを、経産省のお役人さんが産業政策の文脈で言っていたのを思い出しました)。
競争法も同じです。
要するに、「○○を認めないと取引が起こらなくなる」という議論は、一面の(それもかなり強力な)真理を含むものの、絶対ではないということです。
競争法の実務に携わる者の役割は、あるルールが存在する場合としない場合とで、企業の行動がどう変わるのか(また、変わった結果が競争促進的なのか、競争制限的なのか)を、緻密に分析することではないでしょうか(自戒の念も込めて)。
そのような分析には経済学が有用だと思います。
形式的なモデル上の議論ではありますが、どのパラメーターをいじれば結果のどの部分に効いてくるのかが、はっきりと見えるからです。
あるいは、クライアントの相談を受けているときも、どうしてこのような(競争制限のおそれのある)条項が必要なのかを色々聞くと、本当に競争制限的な動機でその条項を入れようとしているのか、合理的なビジネス上の理由があるのかが、ある程度分かったりもします。
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